スペイン人の女流作家ラウラ・ガジジェゴ・ガルシアの児童文学、アラビアが舞台の童話に感動して涙しました。

今年の箕面市小野原で開催された多民族フェスティバルで古本で200円で購入。国際的な地域のマーケットなので、素敵な絵本がないかなと探しに行ったのですが、この本の神秘的な表紙のイラストに惹かれ、中身もなんとなく気になって、一度お店を離れましたが、後で戻って入手しました。

お風呂に入る時に少しずつ読み進めていましたが、他にも並行してたくさんの本を読んでいますが、物語に引き込まれてしまいました。

主人公のワリードはアラビアの小国キンダ王国の王子。非の打ち所がなく、心も外見も美しく、皆に愛される人柄でした。

詩をこよなく愛し、ウカーズで開催される国際的なコンクールで優勝することを夢見ます。しかし、年老いた厳格な王は、キンダ王国内のコンクールで優勝しなければ、ウカーズのコンクールへの出場は許可しないと申し渡しました。

ワリードの詩の才能は国民に広く知れ渡るものでしたが、無名の絨毯織りのハンマードの素晴らしい詩に3度の優勝をさらわれてしまいます。

夢を阻まれたワリードは、ハンマードに激しい憎悪を抱くようになり、心は蝕まれ、彼に無理難題を強います。

そして物語は意外な展開を繰り広げていきます。

とても新鮮で奥深く、示唆に富んだストーリーです。ドキっとするような言葉が散りばめられています。

漢字にふりがなが振られているような児童書ですが、主人公は子供ではないし、とても子供向けに書かれた物語とは思えません。

ワリードがハンマードに最初に与えた難題は、王室の膨大な資料の編纂でした。ハンマードは、一生掛かっても成し遂げられないと思われていたその職務を5年ののちに完遂します。

どうやって成し遂げたのかを問うワリードにハンマードが答えます。「勤勉、努力、それに強い意志です。殿下。偉大な事業はそうやって成されます。世の中のどんなこともそうやって成し遂げられるのです。」

次の難題は、人類の歴史のすべてを織り込んだ絨毯を織るという事でした。ハンマードは狂人のようになってそれを完成させてしまい、同時に命を落とします。

激しい自責の念と後悔に苛まれたワリードは漂泊の旅に出ることになるのですが、とても人間らしく、旅の間も気持ちが揺れ動きます。

時間の流れをさらっと書いていますが、決して短縮して書かれたように感じさせず、時間の密度が感じられるところが素晴らしいと思いました。

今聞いているAudio Bookにも、偶然この物語を通じて登場するジンやベドウィンが出てきます。

とても神秘的で人生や運命について考えさせられるお話でした。自分の意志と選択で運命は変えられる、道は数多くあり、切り開くことができるという希望を与えられました。

「自分のあやまちのつぐないはしなければならないが、罪悪感でおしつぶされて、あらたに選択する道も歩めないほどになることはない。そんな気持ちになってしまったら、目的地までたどりつく力は、とうてい湧いてくるものではない。」

翻訳者は、ハンマードが王室の資料の編纂をする時のように我を忘れて翻訳に没頭したという事ですが、訳も素晴らしいのだと思います。

読んでいる本や映画のセリフで、お告げが感じられる事ってないでしょうか?自分の潜在意識にあるものがピックアップされているのかもしれないですが。そんなアドバイスがいっぱい感じられる本でした。

この本との出会いに感謝します。

 

 

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